古生物学関連書籍の紹介
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子供達のための本
いいことおしえてあげる〜びせいぶつのひみつ
著:塚本久美子 絵:吉田奈央子
出版社:リバネス出版
定価:1575円
微生物の絵本です.大迫力の絵を通して微生物の世界を知ることができます.子供達が大喜びすることが目に浮かぶ絵本です.保護者向けの解説が巻末についているので,微生物の事を知らない親御さんでも,子供に解説することができます.科学系絵本はかくあるべしという見本ですね.
0.1mmのタイムマシン
著:須藤 斎
出版社:くもん出版
定価:1470円
普段あまり注目されないちっちゃな化石である珪藻.その珪藻を子供達に理解してもらえるために書かれた本.珪藻ってなに?珪藻の化石から何がわかるの?小学生や中学生はもちろん,大人も楽しめる一冊です.
古生物学の教科書
絶滅古生物学
著:平野弘道
出版社:岩波書店
定価:3900円
顕生代に生じた5大絶滅に関して,事象,原因仮説についてまとめた力作.著者は長年にわたって日本の白亜紀の絶滅事変の研究をされてきた.その集大成とも言える本であると言えるだろう.大学院生以上におすすめ.
地球生物学−地球と生命の進化
著:池谷仙之・北里洋
出版社:東京大学出版会
定価:3150円
2004年2月に刊行された.本書では,生物学に重きをおきつつ,長い時間軸での地球環境の変遷についてまとめている.
特に,各時代ごとの地球の環境とそのときに起きた生物学的,地球科学的イベントについて良く触れているので,古生物学を学びはじめようとする人に最適の本と言える.
また,一部の教科書にあるような分類群の偏りがなく,大型化石から微化石,果てはバクテリアまでもれなく載っている.
高校生でも理解できる内容でもあるので,高校生から大学院生ぐらいまでが対象と言えるだろう.
古生物の科学1 古生物の総説・分類
著者:速水格・森啓
出版社:朝倉書店
定価:12600円
古生物学会がまとめている古生物の科学シリーズ全5巻の第1巻.新しい「古生物学」の教科書である.
第1巻は,古生物学史,分類手法,各分類学の解説がまとめられている.
ちょっと値段が高いかもしれないが,手元に置いておきたい本だ.
古生物の科学2 古生物の形態と解析
著者:棚部一成・森啓
出版社:朝倉書店
定価:10000円
シリーズ第2巻.古生物学にとって重要な硬組織の形態とその成長様式,解析手法についてまとめたもの.この巻は,シリーズの中でも随一の評判である.
内容は,結構数学的な要素も大きく,生物の形をいかに定量化し,そして数学的に表すかが書かれている.
現生生物学者も必見の書である.
古生物の科学3 古生物の生活史
著者:池谷仙之・棚部一成
出版社:朝倉書店
定価:13000円
シリーズ第3巻.化石から探る古生物の生活史についてまとめている.現生からの知識もふんだんに盛り込まれており,読んでいてためになる本である.
古生物学の基礎
著者:ラウプ&スタンレー
出版社:どうぶつ社
価格:9800円
化石の定義や古生物学の理論や考え方がよく分かる本。これから古生物学を勉強する人には最適の教科書といえる。若干高いが買う価値はある。 学部〜院生にかけて読むと良い.
Palaeobiology II
著者:Briggs&P.R.Crowther
発行年:2001
出版社:Blackwell
価格:約1万円(ソフトカバー),約2万円(ハードカバー)
英語の本.結構高いけど,様々なケーススタディーには良いかも知れない.トピック毎に集まった論文集の様な感じ.チャプター毎のレベルの差が激しいが,多方面の知識を身につけることができる.院生向き.
Evolutionary Biology Third edition
著者:D.J.Futuyma
発行年:1998
出版社:Sinauer Associates社
価格:約1万
これも英語の本.2000年に何人かで輪読会を開催したが,結構難しかった.しかし,進化生物学をやるなら必要な一冊です.院生向き.
進化3巻 古生物からみた進化
編者:柴谷 篤弘,養老 孟司,長野 敬
出版社:東京大学出版会
価格:2472円
発行年:1991年
講座「進化」という7巻シリーズのうちの3巻.古生物学からの進化の視点について書かれている.読み物としても結構おもしろい.一通り読むと,地球と生命の関係や生命の進化が見えてくる.
軟体動物学の教科書
軟体動物学概説(上巻)
編者:波部 忠重,西脇 三郎,奥谷 喬司
出版社:サイエンティスト社
価格:5500円
発行年:1994年
軟体動物の基本的なこと(分類や解剖,系統)などについて書かれており,非常にためになる.下巻は軟体動物の生態について書かれており,非常に勉強になる.
Ammonoid paleobiology
編者:Neil H. Landman,棚部一成, Richard Arnold Davis
出版社:Plenum Pub Corp
価格:日本のAmazonだと4万円と非常に高価
アンモナイトに関する研究を集めたもの。当たり前ながら全文英文である。
アンモナイトの分類・タフォノミー・古生態などが、世界のアンモナイト研究者達により書かれている。本当にアンモナイトを知りたい人にお勧め。
アンモナイト学
著者:重田康成
出版社:東海大学出版会
価格:2000円
発行年:2001年
待ちに待ったアンモナイトの解説書.きれいな写真図鑑にもなっており,非常に良い.値段も安いので,アンモナイトを採集する前に購入しておくことを勧める.
北海道 化石が語るアンモナイト
著者:早川浩司
出版社:北海道新聞社
発行年:2003年
価格:2940円
著者である元三笠市立博物館学芸員の故早川氏は,北海道のアンモナイトを研究していた.フィールドベースの研究が主体であった.
行間から氏のアンモナイト研究に対する情熱がひしひしと伝わってくる.そして,氏がフィールドで得た様々なアイディアが満載されている.氏は,志半ばで逝去されたと思うが,この本に盛り込まれた着想をもとに,後学の研究者が課題に取り組むことであろう.先見に満ちた本である.
古生物学関係の科学史・伝記
地球科学の巨人たち
著者:リチャード・レイメント
出版社:東海大学出版会
価格:2800円
地球科学の創世紀に関わった17人の研究者の人生を書いた本.ゴシップ!って感じ.学史に興味ある人は一読を勧める.
メアリー・アニングの冒険
著者:吉川 惣司, 矢島 道子
出版社:朝日新聞社
価格:1400円
これはかなりおすすめです.ルパン三世などの脚本を手がけた吉川氏と貝形虫の研究を行った矢島先生による「想像」が多分に入ったメアリー・アニングの伝記です.
メアリー・アニングは地質学発祥の地であるイギリスにおいて,その類い希な化石ハンティングの才能と観察眼で,数々の重要標本を研究者に提供し続け,当時の古生物学の発展に貢献した.そのような重要な人物の伝記がこれまで世界的に書かれていなかった.それを吉川氏と矢島先生が,真実み溢れるデータと,そして幾ばくかの想像を織り交ぜながら,描いたのがこの本である.
私自身はこれまで伝記物はほとんどよまなかったのだが,本書は毎日寝るのを惜しんで読みふけってしまった.当時のイギリス,世界における地質学,古生物学の動向を知る上でも良い一冊に仕上がっている.
世界を変えた地図 ウィリアム・スミスと地質学の誕生
著者:サイモン・ウィンチェスター
訳者:野中邦子
価格:2600円
出版社:早川書房
「地質学の父」と呼ばれるウィリアム・スミス.地質図を作った男としてあまりにも有名だ.彼がいなかったらどこに石油や石炭が眠っているのか分からなかったであろう.
そんな偉大な功績を残したスミスであるが,彼の生涯は波瀾万丈に満ちあふれている.
私も知らなかったが,彼の作り途中の地質図が盗作されたり,多額の債務返済に追われたりと,激動の人生と言って良いだろう.
本書は地質図を中心にスミスの生涯と地質学黎明期を知る上での貴重な一冊となるだろう.
はじめての地学・天文学史
編集:矢島道子・和田純夫
価格:1600円
出版社:ベレ出版
地学・天文学史の良書が発売されている.地学という学問が成立した背景や様々な学説の「進化」を丁寧に解説している.豊富なイラストと脚注も非常に良く,各仮説が出された時代的な背景やそれが否定されていった過程が難なく理解できる.
科学史と聞くと,難解で退屈なイメージがあるが,本書はそのようなイメージを払拭できる優れた本である.値段的にも1600円と安い.
単純に読み物としても優れている.
おすすめである.
なぜ貝の化石が山頂に?
著者:アラン・カトラー
価格:2000円
清流出版
ルネッサンスの終わりに,地球を実際の自然から理解しようとしたニコラウス・ステノ.「創世記」という文献資料に支配されていた当時に,自然を観察し,そこから自分の考えを導き出した.まさに自然科学を実践したのだ.
この本は,そのニコラウス・ステノの伝記である.地層類従の法則や地球科学を切りひらいた科学者であり,晩年は司祭になった男の生き様が描かれている.
原題は「The Seashell on the Mountain」である.日本語版ではなぜか「?」マークがついている.「貝の化石が山頂に!」とした方がインパクトがあると思う.
古生物関係の読み物
凹凸形の殻に隠された謎: 腕足動物の化石探訪 著:椎野勇太
著者:椎野勇太
出版社:東海大学出版会
ページ数:268ページ
価格:2100円
研究の裏話が面白い東海大学出版会の「フィールドの生物学」シリーズに待望の古生物本が加わった!
古生代に大繁栄し,その後は衰退の一途をたどった腕足類.動くことがほとんどできない腕足類.腕足類という生物の名前を聞いたことがある人などほとんどいない腕足類.とにかく地味でネガティブな腕足類を対象に繰り広げられるなんともダイナミックな研究成果の裏側が本書では語られている.腕足類のローコスト戦略を椎野博士の試行錯誤が暴き出していく.断然のおすすめ作品だ.
カンブリア紀の怪物たち
著者:サイモン・コンウェイ・モリス
価格:987円
出版社:講談社現代新書
発行年:1997年
いやー,これはおもしろかった.カンブリア紀の大爆発で有名なバージェス頁岩から採集された化石の数々を如何に復元したかを,カンブリア大爆発の第一人者サイモン・コンウェイ・モリスが書き下ろしたもの.
いかにしてカンブリア紀の生物たちを復元していったか,その思考過程が読み取れる.高校生以上に大変おすすめの本である.
手足を持った魚たち
著者:ジェニファ・クラック
出版社:講談社現代新書
価格:903円
発行年:2000年
脊椎動物がどうやって,いつ陸上へと進出してきたのか.我々の祖先の地球との戦いの記録.
骨の名前がたくさん出てきて読むのが大変.著者もそれはわかっているようで,丁寧な図が載っている.脊椎動物をよく知っている人やこれから勉強する人にはおすすめ.
アンモナイトは神の石
アンモナイトのアマチュアコレクターが書いた採集記.私もアマチュアだったので感情移入してしまった.化石を採集するときの興奮が直に伝わってくる.
これから採集へ行こうと思っている人は,これを読んでさらに興奮しよう!!
ヒトデ学
著者:本川達雄
出版社:東海大学出版会
価格:2800円
発行年:2001年
棘皮動物について書かれた本.ヒトデやウミユリがどういう生き物か知っていますか?知らない人はこれを読んで棘皮動物がいかにミラクルか分るでしょう.
貝のミラクル
著者:奥谷喬司
出版社:東海大学出版会
価格:2500円
発行年:1997年
この本を読むと,貝とはなんとすばらしい,そして驚異的な生き物であるかが分る.軟体動物を理解する上でも読んでおくと良い.
深海底の科学
著者:藤岡換太郎
出版社:NHKブックス
発行年:1997年
価格:1020円
実際に潜水艇で潜っている研究者が書いた海底の様子.地球のダイナミックな動きを知ることができるだろう.おすすめの一品.
貝殻・貝の歯・ゴカイの歯
著者:大越健嗣
出版社:成山堂書店
価格:1600円
発行年:2001年
”殻”と”歯”に注目した本.
なんてマイナーなものに注目した本だろうか!しかし,いつも殻や歯しか見ていない古生物学者は必読ですね.
著者の”殻はゴミ箱”説には賛成.
ワンダフル・ライフ
著者:スティーブン・ジェイ・グールド
出版社:早川書房
発行年:2000年
価格:940円
文庫にしては高いかも知れないが,ページ数も600ページにもなって満足の一品.多少読みにくい所があるが,第三者の目でバージェス頁岩の化石を魅せてくれる.結構有名な本.
時間とは何か
著者:チャールズ・H・ホランド
出版社:青土社
発行年:2002年
価格:2400円
著者はダブリン大学トリニティーカレッジ地質学科の名誉研究員.地質学という非常に長い時間スケールを対象に研究していたからこそ,本書が描けたのであろう.
本書では地質学的な時間スケールはもちろんのこと,人間にとっての時間,生物時計,時計の歴史,芸術作品の中の時間,そして時間の哲学と「時間」に関するありとあらゆる時間を描いている.
時間を対象にする古生物学者は,本書を読むことを強くおすすめする.
竜とわれらの時代
著者:川端裕人
出版社:徳間書店
出版年:2005年(文庫版)
価格:1143円+税
フィクションの恐竜小説です.そして,私に古生物学の純粋な楽しさを思い出させてくれた本です.
恐竜を高校生のときに弟とともに発見したことによって,古生物学者への道を決めた大地少年.彼は渡米して大学院に進学し,恐竜をテーマに博士論文を開始する.日本で自分が発見した竜脚類を研究テーマに選んだのだ.まずは巨大な竜脚類恐竜の発掘を開始するが,そこから数々の事件が起きる.
小説の殻は,この事件ではあるが,私的には導入部の化石の発見のシーンから,そこから徐々に徐々に化石への興味がどーんと心に染み渡っていく雰囲気が大好きです. これを読んで,私が古生物学に入ってきたきっかけを思い出しました.
小説そのものは,後半部分において,進化論と宗教や文化の対立,果てはテロにいたるまで,相当スケールのでかい話になっています.ちょっとやりすぎかな?とも思いますが,最新の恐竜知識が詰め込まれており,恐竜好きにはたまらない一冊に仕上がっていると思います.
堆積学と層序学の教科書
層序学と堆積学の基礎
訳者:原田憲一
出版社:愛智出版
発行年:1999年
価格:5200円
本格的に調査をやるなら一度は読んでおいたほうが良い.写真も多くてわかりやすい.層序学・地質学がなんたるかが分る.ただし,一部訳が違うのか原著が間違っているのか,おかしい部分があると思われるので注意が必要.