ウミシダの幼生
ウミシダ研究者の柴田朋子さんが育てているウミシダが子供を産んだと聞いて,研究室の何人かで神奈川県三浦市にある東京大学三崎臨海実験所に行って来ました.卵やら幼生やらを観察してきましたので,ここに紹介したいと思います.
オオウミシダ
これがウミシダです.サイズが入っていませんが,20cm以上あります.でかいでしょ.
このウミシダはウミユリの仲間ですが,茎が無いんです.
オオウミシダの腕
一本一本の腕には多数の羽枝と呼ばれる腕のミニチュアのようなものが出ていて,その中に卵ができます.産卵間近になると,羽枝が太ってきます.
写真は卵が飛び出していますが,これはもう産卵していると言うことかな?
オオウミシダの卵
取り出した卵です.赤い枝は羽枝です.(卵はそのまわりのピンクのつぶつぶです).
オオウミシダの卵2
卵を実体顕微鏡で見たところ.
オオウミシダの卵の光学顕微鏡写真
これは光学顕微鏡で見たところです.
ウミシダの幼生はドリオラリア幼生,シスチジアン幼生,ペンタクリノイド幼生へと変わります.
右のリンクからドリオラリア幼生の動画を見ることができます.
ニッポンウミシダのペンタクリノイド幼生
これはすでに着底したあとで,ペンタクリノイド幼生です.
ニッポンウミシダのペンタクリノイド幼生
上の拡大ですが,よく見るとわかりますが,すでに親の形とほとんど似ています.
しかも,親であるウミシダには茎が無いのに,幼生の段階では茎を持っているのです.
ニッポンウミシダのペンタクリノイド幼生2
これも上と同じです.
上の幼生の動画です.
腕を曲げて口にえさを運んでいるらしいのですが,その仕草がみょーにかわいくないですか?
以上で今回のウミシダ幼生の観察は終了です.
無脊椎動物の産卵や幼生そのものを初めて目の当たりにしたのですが,非常に面白かったです.ウミシダやウミユリは棘皮動物の中では原始的だと言われているのですが,繁殖や飼育が難しくこのような発生過程の観察が困難でした.しかし,柴田朋子さんの研究では飼育などを行って,非常に綿密な幼生の観察が可能となっています.今後の研究に期待大です.
それにしても面白かった!